フランスでお医者様にかかると日本の診療所とは勝手が違い、結構面倒だと感じる人が多いと思います。スペシャリストという専門医がやたら細かく存在し(日本でももちろん専門医というのは存在しますが)、聞きなれない専門医というのも存在します。そして大きく違う点は日本のように直に専門医に診てもらう事が少なく、先ずジェネラリストという一般医に診てもらい、その後専門医への診断が必要とされると紹介状を持ってそこへ向かうことです。ですから、一つの病気を治すために各専門医にあちこち通わなければならないことも多いのです。
私の家族では、長男が一番お医者様にかかることが多く、ジェネラリスト、スペシャリスト共にあちこちお世話になっています。1歳ごろから通っていたのは便秘専門医(こういう専門医がいることに驚きました)、アレルギー専門医、そして最近頻繁に通っているのは、耳鼻科の専門医。
私もいくつかの専門医に通ったのですが、一番面倒だと思ったのは、妊娠中。日本では、産婦人科医にかかるとそこで血液検査、エコグラフィーなど、必要な検査は全て同じところで行えるのでしょうが、フランスの場合産婦人科では毎回体重や血圧を測ったり、内診、胎児の心音を確認するくらいで、エコグラフィーはエコグラフィー専門医、血液検査はラボラトワーと呼ばれる血液検査のための研究所に行かなくてはなりません。また妊婦によくありがちな糖尿病についても、疑いがあれば糖尿病専門医のところへ送られることになるのです(私もそうでした)。
そして、日本と違い診察室というのは一般に医者一人(看護士不在)、実にシンプルで(診察室というよりも応接間の様)医療器具も必要最小限といった感じで、日本のようにその場で薬を投与したり、即注射を打ってもらうなどということはありません。注射を打つ場合などは、医者に処方された注射をファーマシー(薬局)へ自分で買いに行き、それを持ってまた医者に打ってもらうことになるのです。はっきり言って二度手間に感じますね。忙しい人なんかは、つい足が遠くなってしまいがちです。
しかし病気や怪我をして仕事に行けない(行きたくない)となると、面倒でもお医者様に行かなくてはなりません。なぜなら、お医者様の診断書に「アレ・デュ・トラヴァイユ」(仕事を何日間休む必要があるということが書かれたもの)無くして仕事を休むことはできないのです。言いかえば、それさえ書いてもらえば、有休を使わなくても平気で休めるというわけです。日本人は、周囲の事を考えると休みにくかったりするのですが、フランス人は案外平気で休んでしまえるようです。国民性の違いですね。次回また日仏の違いについてお話したいと思います。