子どもの薬のキホン:薬はただの道具なり

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こんにちは!「メディカルパパ」こと、パパ薬剤師の中村守男です。僕は、ママさん・パパさん向けに子どもの健康・医療に関する出前講座なども行っていますが、感染症が流行するこの季節(冬)には、地域の「子どもプラザ・サークル・サロン」などでお話をする機会が増えてきます。今回は僕がその講座で最も話す「子どもの薬のキホン」について。

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薬もただの道具と考えて、上手に使うこと

◆3つに分類できる子どもの薬
普段は健康なお子さんが、熱・嘔吐・下痢・咳・鼻水・鼻づまり…など、いわゆる「外来」で病院やクリニックに受診する際にお医者さんから処方される薬は、大きく分けると3つです。その3つとは「現在出ている症状を…抑える薬」・「原因の菌やウイルスをやっつけて…治す薬」・「感染予防や症状が出ないように…予防する薬」です。

※この表現はあくまでもパパ薬剤師的な表現なので一般的に通用するものではありません。

◆抑える薬
「抑える薬」とは、その言葉の通り現在出ている症状を抑える薬です。例えば「熱さまし」「鼻水止め」「咳止め」「吐き気止め」「下痢止め」などがそうです。体に細菌やウイルスが侵入したり、温度変化・花粉・ホコリなどアレルギーを起こす原因があったりすると、体は自己防衛反応で熱・嘔吐・下痢・咳・鼻水・鼻づまりなどの症状を引き起こします。なのでその症状が出る事自体は決して悪いことではありません。薬を使わなくてもいずれは自然に治るはずです。…が、親として「この子のつらい症状を何とかしてあげたい!」と思うのは当然のこと。「咳や鼻水を止める事で少しでも夜眠れるように!」とか、「下痢の回数を減らしておしりの炎症を止めたい!」など、この「抑える薬」を使用する事で、本人も親も楽になる事が多いのでは?と思います。

※もちろん、症状に合わせて医師と相談しながら使うのが前提です。

◆治す薬
例えば「溶連菌感染症」「水ぼうそう」「インフルエンザ」など明らかに原因が分かっている時は、その原因である細菌やウイルスを退治する治療があります。そんな時に使うのが「抗生物質」や「抗ウイルス薬」などの「治す薬」。イメージでは「風邪がひどくなったら使うもの」かもしれませんが、必要に応じてキチンと飲むことが大切です。この「治す薬」のおかげで、昔は助からなかった小さい命が、今では助かるようになっているのです。

◆予防する薬
気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など慢性な疾患を持っているお子さんは、定期的に薬を飲むことがあります。その中にはもちろん出ている症状を抑える薬もありますが、安定している時期でも症状が出ないように予防する薬もあります。「今は健康で落ち着いているのに…本当に薬が必要なの?」という声もありますが、症状によってはキチンと続けた方が良い場合、季節に合わせて飲まなくてもよい場合など様々です。日々の健康状態をしっかり記録して、お医者さんと相談しながら続けるかどうか決める事が大切になります。また、予防接種などもこのグループに入ります。ワクチンを事前に接種する事で、いざその感染症になった時にもひどくならないように予防するのです。

いかがだったでしょうか? 子どもの薬に対する考え方が少しは伝わったでしょうか?「薬」は、あくまでも子どもの健康を守る「道具」です。その道具にむやみに頼りすぎたり、使い方を間違えてしまったり、噂だけで「あれは危ないから!」と思いこんだり…。

「道具」はどこまで行っても「道具」。僕たち親は子どもの健康を守るために、この「薬」という名の道具を、上手に使いこなして付き合う事が大切なのではないでしょうか?

パパ薬剤師 中村守男(メディカルパパ)