嘔吐下痢症と子育て

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こんにちは!パパ薬剤師の中村守男です。ここ最近、一気に冬らしさが増してきました。この季節になると毎年流行する「ウイルス性の嘔吐下痢症」。ノロウイルスなど、その有名な名前を聞いた事がある方もいるかと思います。

僕自身、パパとしての目線と小児科の薬剤師としての目線の両方から考えると、実はこの「ウイルス性の嘔吐下痢症」は、インフルエンザよりも子育て家庭にダメージを与える感染症ではないか!?と考えています。今回はその理由を解説しながら「嘔吐下痢症と子育て」について書きます。

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◆原因ウイルスそのものをやっつける薬はない

感染症の原因が特定されている場合、薬があればそれを使う事で原因の細菌やウイルスをやっつける事ができます。例えば、インフルエンザウイルスには「抗インフルエンザウイルス薬」。ヘルペスウイルスには「抗ヘルペスウイルス薬」。溶連菌や中耳炎には「抗生物質」などを使います。しかし、冬に流行するウイルス性の嘔吐下痢症(ノロウイルスなど)に効く「抗ウイルス薬」はまだ開発されていません。つまり、吐き気がひどい時は「吐き気止め」、下痢がひどい時は「下痢止め」などの対症療法の薬で対応するしかないという事です(※医師によって対応の仕方は様々です)。

◆家族全員に感染するケースがほとんど
ベテランのママさん・パパさんなら感覚で分かると思いますが、家族の中で誰かが「嘔吐下痢症」に感染すると、1日~2日の時間差で家族全員が大なり小なり同じ症状を訴える事になります。

初めに感染したお子さんの嘔吐や下痢の処理をした家族が感染し、その手で家庭内のドアノブやタオル、パソコンのキーボードなどにウイルスが散らばり、いつの間にか家族全員の体の中に入って行くのです。

ある程度体力のある大人は、感染してもひどく発症せずに「ちょっと胃がムカムカするな」という程度で終わる場合もありますが、体力の無い子ども達は脱水症状を起こし、病院で点滴をする事もしばしばあります。

◆子育て家庭ならではの吐物・汚物処理の大変さが…!
いきなり夜中に子どもが起きて嘔吐したりすることが多い「嘔吐下痢症」。子どもが「オェッ」と吐き気をもよおし、慌てて洗面器を持って行った時にはすでにもう遅し…。布団の上にはぶちまけられた吐物が。子どものパジャマや髪の毛もその吐物がベッタリとついて、もうどうしようもない状態に。仕方なくママは子どもと一緒に深夜のシャワータイム。パパは布団やパジャマについた吐物を洗面所で処理して、新しいシーツに交換。やっとさっぱりしたのは1時間後、さあ寝ようとした瞬間…!また「オエッ!」と言いだす子ども。

同じ作業を2回繰り返し、ほっとした頃に時計を見ると早朝5:00。
…ママやパパなら誰でも一度はそんな経験した事があるのではないでしょうか?

◆結局はこまめな「手洗い」などを怠らないこと
保育園・幼稚園・ショッピングモール・公共施設など、人が集まる所に行けばその時に流行している感染症にかかる事は、ある意味仕方のない事だと思います。子ども達もそうやって免疫力が付き、強くなっていくのも事実。親としてはこまめな「手洗い」などを怠らずに、子ども達にもしっかり習慣づけさせる事が大切です。冬は洗濯物も乾きにくいので、吐物や汚物で洗いものが多く出る「嘔吐下痢症」に感染した際は、いつもより多めに衣類やシーツなどの準備をしておくことも大切だと思います。

いかがだったでしょうか?「嘔吐下痢症と子育て」。僕自身、親としてこの感染症に何度辛い夜を過ごした事か…!一晩で布団がダメになったこともあります。また、ある夜は子どもの嘔吐に洗面器が間に合わず、必死に両手で受け止めた事もありました…!(^^;)

だからこそ、薬局で「1日3回飲んでください」とただ薬を渡すだけでなく、ママやパパがどれだけ大変な夜を過ごしたかをしっかり聞いて共感する事も、パパ薬剤師としての大切な役目だと思っています。

では、次回もお楽しみに。

パパ薬剤師 中村守男(メディカルパパ)