フランスの新年、ヤドリギの話

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さて、今日は、フランスでのトラディショナルな新年の儀式をご紹介します。

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年の暮れになると、フランスの街中やマルシェなどでGuiという植物を売っている光景を目にすることがあります。日本語ではヤドリギがそれにあたりますが、あまり馴染みのない植物ですね。他の樹木に幹や枝の中に根を下ろして寄生し、水やミネラルを吸い取る吸血の木(vampire plant)などと呼ばれることもあるらしく、しばしば厄介者扱いをされるこの植物ですが、そんな厄介者も年に一度重宝がられる時がやってくるわけです。フランスや北ヨーロッパでは、Gui(ギリシャ語でHERMES=健康の神)は幸福をもたらし、災いや悪霊から守る植物としてノエルや新年に飾りつけられます。

今年も大晦日の日にうちの近所のマルシェの通りでGuiを売っている(ばらまいている)人を見かけました。人だかりをかき分けて「お幾らですか」と尋ねると、「お気持ちでいいですよ。お好きなブーケをつくってください」となんともサンパティック(Sympathique-感じの良い、気持ちいい、陽気な等の意味)な応え。「それではこれで」とコインを渡すとにっこり笑顔で応えてくれました。3歳の息子と一緒に図々しくも2つもブーケを作ってしまいました。息子は、この白い実をつけた植物を完全に食べ物と勘違いしているようで「わあ~ぶどうだあ」と大喜び。帰ってきて主人に「ぶどうもらったよ」自慢げに話していました(後で知ったのですが、この白い実を食べると下痢になるそうです。幸い食べてはなかったのでよかったです)。

息子と一緒に何処に飾ろうかと相談し、窓の枠と玄関の扉の前に飾ることにしました。Guiは高いところに飾らなければなりません。ノエルや大晦日の夜中の12時にGuiの飾りの下でキスをすると、長生きと幸福を得られると言い伝えらているからです。

大晦日の12時、新年の挨拶で人々が「BONNE ANNEE」といいながらその場にいる一人一人にキスを交わしますが、その習慣もこGuiの下で「BONNE ET HEUREUSE ANNEE」(新年明けましておめでとうございます)を願いながらキスをすることから由来しているそうです。

実際、我が家の男連中は、私以外12時には就寝していました。
キスをする相手が居なかったというわけです。とほほ~

皆様にとって幸せな一年でありますように。